2021年の各EA収支
前提
KABUTO-Projectでは、無償展開中のEAを放置運用した場合の実績を公開しています。
本来のEAであれば、FOMC、要人発言、雇用統計といった重要指標や年末年始、GW、お盆等の長期休暇では相場が荒れがちのため、手動で稼働を停止することが鉄則ではありますが、当収支報告では指標に関わらず「放置運用」を行った収支となります。
そのため慎重に運用した場合にはより安定した収支を望める可能性がある場面でも稼働を止めておらず収支としては不安定になっている部分がありますがご認識の上ご覧ください。
各EAの年間収支
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
KABUTO | 2021/1/1 | 576,401 | 1,210,804 | +634,403 | +110.07% |
NPSS_EA | 2021/1/1 | 7,613,620 | 9,309,124 | +1,413,405 | +18.57% |
LIFDSS_EA | 2021/10/25 | 500,000 | 544,982 | +44,982 | +9.00% |
KABUTO、NPSS_EAについては2020年より運用を行っておりますが、1年間の収益を振り返るため2021年1月からの収益情報を記載しています。
LIFDSS_EAについてはパラメーターの見直しなども実施した関係で、10/25からの実績を記載しています。約2か月分の運用と期間は短いですが参考情報としてご確認ください。
なお、NPSS_EA、LIFDSS_EAについては、本来柔軟に設定を変更できるセルフサービスEAとしてリリースしているため実績の公開を行わない予定でしたが、既存ユーザ様のご要望が多数ありましたので参考設定及び参考収益として掲載しています。
参考:NPSS_EA高収益設定
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
NPSS_EA (高収益設定) |
2021/10/25 | 9,993,880 | 17,594,191 | +7,600,311 | +76.05% |
上述の通りNPSS_EAは柔軟に設定を変更できるセルフサービスEAとなりますが、既存ユーザ様より高収益を狙える設定についての参考値も見たいとのご要望が多くありました。
本NPSS_EA高収益設定は、多少リスクを取る替わりに高収益を狙う設定値を用いた運用実績です。あくまでも参考値のため少し多めに証拠金を設定しています。
また、当実績値についても10/25からの実績となります。約2か月分の運用と期間は短いですが参考情報としてご確認ください。
各EAの実績詳細
ここからは、各EAの2021年の実績を個別に振返っていきます。
KABUTO
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
KABUTO | 2021/1/1 | 576,401 | 1,210,804 | +634,403 | +110.07% |
2020年に50万円で運用開始し、昨年度のプラス収支を引き継ぐ形で2021年は約57万円からスタートしました。
稼働環境のメンテナンス、運営のメンテナンスミス・メモリ不足等による緊急停止(グラフ内青枠箇所)を除き、一切の停止を行わずに稼働をし続けています。
KABUTOには強制ロスカットを防ぐための自動損切機能、週末・週明けの稼働停止機能などを要していることもあり、非常に安定した収益を上げられた1年間となりました。特に、週末稼働停止機能により、ほとんどの週で翌週へのポジションの持ち越しなしで運用できたことでより安定性を増したと考えています。
また、5月、11月には積み上げた利益によりロット自動調整が稼働し、複利運用の効果で収益が徐々に加速していきました。
※KABUTOについては「2021年のEURUSD相場のトレンドとKABUTOの動き」にて相場も含めた振返りを記載しているためご参照ください。
NPSS_EA
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
NPSS_EA | 2021/1/1 | 7,613,620 | 9,027,025 | +1,413,405 | +18.57% |
2020年に証拠金500万円で運用開始し、昨年のプラス収支を引き継ぐ形で2021年は約760万円からスタートしました。稼働環境のメンテナンスによる緊急停止を除き、一切の停止を行わずに稼働をし続けています。
760万円という初期証拠金から見ると利益率が小さいですが、本来はある程度の裁量判断ができる方、自動損切も含めた運用方針を立てることができる方向けのセルフサービスEAとなりますので、数十万円の資金でも同様の収益を上げられる可能があります。
12月は特にリスクがあることは承知しながら参考用に稼働を続けた結果GBPUSDの損切が立て続けに入ったことで収益性は悪化しましたが、それでもなお年間140万円の利益が上がっています。
NPSS_EA(高収益設定)
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
NPSS_EA (高収益設定) |
2021/10/25 | 9,993,880 | 17,594,191 | +7,600,311 | +76.05% |
10/25より証拠金約1000万円で稼働を開始しました。2021年は約10週間の運用を行い累計で「約760万円」の利益となりました。
上述の通りNPSS_EAは本来はある程度の裁量判断ができる方、自動損切も含めた運用方針を立てることができる方向けのセルフサービスEAとなります。
2021年は1000万円の証拠金に対して順調に利益を上げていますが、一時含み損が400万円に達するなど、リスクもありますので証拠金が十分とは言い切れません。ロスカットの発生も加味した資金管理を意識することでリスクを軽減できると考えていますので2022年は運営メンバの運用実績公開なども実施していこうと考えています。
※運用面の考察は週報、月報に記載しておりますのでご確認ください。
LIFDSS_EA
EA名 | 検証開始日 | 検証開始時点残高 | 2021/12/31残高 | 年間収支 | 年利 |
LIFDSS_EA | 2021/10/25 | 500,000 | 544,982 | +44,982 | +9.00% |
10/25より証拠金50万円で稼働を開始しました。
2021年は約10週間の運用を行い累計で「約4.5万円」の利益となりました。
開示している実績では、比較的相場変動に慣れのあるUSDJPYの相場で証拠金とロットの関係から100円~120円のレンジで1%~2%ほどの月利を目標としてパラメーター設定をしていますが、10月~11月にかけてのUSDJPYの値動きが大きかったこともあり約2か月で9%の利益となりました。
既にドルが115円に達していることもあるため、今後の値動きとレンジ調整幅を注視しながら、長期運用を目指した設定を見極め情報共有を実施していこうと考えています。
2021年のEURUSD相場のトレンドとKABUTOの動き
はじめに
2021年のKABUTOは「完全放置」で右肩上がりの収支で一年を終えることができました。
流通している多くのナンピンEAがロスカットとなっていた中、KABUTOは2021年に発生したトレンドをどのように乗り切ったのか、本章ではいくつかのトレンドのタイミングにおけるKABUTOの挙動を、実際の決済履歴を見ながら解説していきたいと思います。
「NPSS_EA」「LIFDSS_EA」などユーザ設定の自由度の高いEAとは異なり、「KABUTO」はKABUTO-Project運営が推奨設定を固定化して公開している唯一のEAとなります。
そのため、振り返りを行うEAは「KABUTO」のみ、相場はKABUTOの稼働通貨ペアである「EURUSD」のみを振り返りの対象とします。
トレンドの抽出の方針
検証を行うトレンドは以下の条件でチャートから抽出しました。
- 対象通貨ペア
EURUSD(KABUTOの稼働通貨ペア)
- 対象期間
2021/1/1~2021/12/28(記事作成時点)
- トレンドの定義
「20pips以上の戻りが発生せずに一方的に120pips以上の値動きがある」
条件を専用プログラムを作成して抽出したもの
(=ナンピンの利確機会が少ないトレンドとみなす)
トレンドの抽出結果とファンダメンタル要因の概要
先述の条件による抽出の結果です。2021年日足チャートに対し、主な要因と合わせて赤枠で囲っています。
一部赤枠以外でもトレンドが見受けられますが、日足内で大きな戻しがあるため除外しています。ナンピンでの利確が難しい、戻しの少なかったトレンドのみを抽出しています。
上記①~⑤のトレンドの詳細と、その時のKABUTOの挙動を確認していきましょう。
同じ時期に他のナンピンEAを稼働させていた方は、是非ご自身のEAの取引履歴と照らし合わせてみてください。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~① 2/24 FRB議長ハト派発言~
- 相場状況
この週は「FRB議長の保守的な発言」以外にも、「ドイツ2月IFO指数」「ドイツ3月GFK消費者信頼感調査」などの指標の結果を材料として、2/24-25にかけて約140pipsの上昇トレンドが発生しました。 - その時KABUTOは・・・
チャート内一つ目の赤枠部分の戻しで早めの利確をすることで、後続のさらなる上昇トレンド(2つ目の赤枠)を少ないポジションで対応することができています。多くのナンピンEAではより大きな利益を得るためにもうしばらく利確を待つところですが、KABUTOは今回のようなケースのリスクを最大限考慮し、早めの利確を行う仕様としています。また、利確時点でナンピン数は"6"と、自動損切到達までまだ余裕のある取引ができています。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~② 3/4 FRB議長長期金利上昇容認発言~
- 相場状況
3/4のFRB議長の強硬的な発言を受け、米長期金利の急騰、ドルの全面高、株価の大幅下落となり、EURUSD相場においても急角度で下落トレンドが発生しました。 - その時KABUTOは・・・
ナンピン回数は自動損切直前の8回を記録しましたが、2月のケース同様、チャート内一つ目の赤枠部分の戻しで早めの利確をすることで、後続のさらなる下落を回避しています。また、3/5が金曜であったため、「週末自動停止機能」が働き、利確後の後続の下降トレンドではノーポジションでした。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~③ 3/23 ドイツロックダウン延長発表~
- 相場状況
3/23のドイツのロックダウン延長発表をきっかけにした、景気先行き不安による欧州株の下落およびEURUSDチャートの1.19割れの下落トレンドが発生しました。この流れは25日まで継続し、最終的にEURUSDチャートは1.17台にまで下落しています。 - その時KABUTOは・・・
ここまでのケース同様、チャート内一つ目の赤枠部分の戻しで早めの利確をすることで、後続のさらなる下落を回避しています。今回に関してはその後のトレンド継続が長時間にわたり、最終的に186pipsの下落トレンドとなりました。利確する隙の無いトレンド相場だったため、この時期に資金を失ったナンピンEAユーザの方はかなり多かった印象です。
KABUTOは初回の利確を早いタイミングで済ませたことで、後続の下落時は少ないポジション数でやり過ごすことができています。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~④ 7/28 FOMC声明⇒ FRB議長ハト派発言 ~
- 相場状況
日本時間29日未明の「FOMCでの強硬的な声明」からその後の「FRB議長の保守的な発言」と矛盾する結果がチャートにも反映され、EURUSDチャートは一度大きく下げてから上昇するという値動きとなり、最終的に約140pipsの上昇トレンド相場となりました。 - その時KABUTOは・・・
ここではKABUTOの「急変動相場でのポジション作成待機」の仕様が有効に機能しています。FOMC声明による既存ポジションの利確以降、値動きが大きな時間帯はポジションの作成を待機し、チャート内一つ目の赤枠で初めてポジションを作成しています。おそらく、この仕様が働かずに最安値からポジションを持っていた場合、後続のトレンドに耐えられずに自動損切という結果になっていたことが予想されます。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~⑤ 10/29 ロンドン・フィキシング ~
- 相場状況
日本時間28日夜間はECB総裁が景気に対して楽観的だったことやインフレの高止まりが長期化するとの発言をしたことがタカ派(強硬派)的と取られ、ユーロドルは1.16水準から週間高値となった1.169レベルへと上昇しました。しかし翌日の月末ロンドン・フィキシングでは大口のユーロドル売りが出たことからユーロドルは高値圏のもみあいから急反落し、今度は週間安値1.153レベルまで急速に水準を切り下げ、結果的に約160pipsの下落トレンドとなりました。 - その時KABUTOは・・・
10/29が週末金曜日だったことで、下落前の上昇トレンドの利確後は「週末自動停止機能」が働き、フィキシングの下降トレンドではノーポジションでした。取引を行わないことは利益を得る機会の損失とはなりますが、月末×週末というフィキシングによる値動きが大きくなるタイミングを外すことで、損切のリスクを回避することができました。
トレンド相場におけるKABUTOの動き~総括 ~
2021年内はKABUTOの自動損切が発生しなかった一方で、決して穏やかな相場が続いたというわけではなく、やはり大きなトレンドは都度発生していることを再確認できました。
そのような中でKABUTOは
- 目先の利益を欲張らない早めの利確
- 急変動時のポジション作成待機
- 週末の自動取引停止
などの独自仕様を活かすことで、年間通じて通常のナンピンEAでは到達できない好成績を残すことができたのではと考えております。
相場状況に応じての細かな見直しは継続しつつ、来年以降も同様の実績を残せるよう取り組んでまいります。
2022年の取り組み予定
最後に2022年の取り組み予定で、活動が具体化しているものをご紹介します。
もちろんEA開発などは継続的に実施する前提ですが、その他にも利用者の収益に少しでも寄与できる活動を予定です。
KABUTOの期間最適化
2021年はKABUTOも堅調であり、強制ロスカットを避けるための自動損切機能も一度も発動せずに順調に利益を積み上げることができた1年間となりました。
自動損切に至らない安定した相場であったこともあり、しばらくの間最適化を実施していませんでしたが、反面目標月利には達しないという状況でした。
また、ロットの自動調整に関しても従来の仕様では利益の積み上げが遅いため、安全かつ早期に利益の積み上げができるように設定の変更を実施予定です。
NPSSの最適な運用
NPSS_EAは柔軟なパラメータ設定が可能なEAであり、従来のナンピンツールに課題を感じているユーザ様にて自由な運用ができることをコンセプトとしています。
一方、多くのユーザ様はナンピン経験が不十分なままに運用をスタートすることで、公開口座同様の実績を上げ切れていないといった声を伺う機会もあります。
そこで、KABUTO-Projectでは、資金管理も含めた効率的な運用ができないかを検証し、よい結果が導き出せれば皆さんに共有していこうと考えています。
LIFDの公開口座パラメータ設定見直し
2021年10月に口座情報の開示を始めたLIFDSS_EAですが、目標月利である1~2%に対して4%ほどの月利が上がりました。
目標月利を超えたのはよいことである一方で、長期運用を見据えるとリスクが高いとも言えます。
USDJPYの相場変動が一時的に上振れしていた可能性も加味し、継続して収支の様子を見た上でより低リスクな設定とするかどうかを判断していこうと考えています。
リスクを下げつつ安定した収益を上げるための設定を引続き模索し情報発信していこうと思っています。
運営からのご挨拶
既存ユーザの皆さん、また新規にTwitter等を経由して、日報、週報、月報をご確認いただいた皆さん、2021年度はありがとうございました。
KABUTO-Projectでは今後も皆様の資産構築、FX運用、EAの選定のお役に立てるように情報発信を続けていきたいと考えております。2022年はより一層の飛躍を目指してメンバー共々努力してまいりますので、引き続きのご愛顧よろしくお願いいたします。
週報、月報にご意見やご要望のある方、ご紹介させていただいた各EAにご興味を持っていただいた方、運用までの流れなどご興味ある方はご利用の流れをご確認ください。