FXで利益を出す方法は、大きく二つあります。一つ目は世の中の需給により決定された為替レートに基づき、売買をした際の差分である為替差益、二つ目が売買する通貨ペア間の金利差による利益であるスワップポイントです。それぞれの特徴を解説します。
為替差益とは
FXで稼ぐといえばこの為替差益が一般的ですね。通貨を安く買って高く売って儲けを出す、これです。
しかし、FXでは高く売って安く買い戻すことによって利益を出すことも可能です。後者については、初心者にとってはどういうこと?と思われるかもしれません。それぞれの違いを例とともに見ていきましょう。
買い(ロング)ポジション
安く買って、高く売ることを目的としたトレードです。FXではこのポジションを持つことを「ロング」と言ったりします。過去の統計からFX相場の値動きは、上昇相場の場合期間が長く(ロング)、下落相場の場合は短い(ショート)ことがその由来となっているようです。
買いでエントリーして利益を出す
例えば、日本で暮らすAさんが、ドルの価格が100円/ドルの時に1万円で100ドル分買ったとします。1ヶ月後に110円/ドルに変化した場合、保有する100ドルは1.1万円の価値となります。この時に、保有するすべてのドルを売った場合、Aさんは1,000円の利益が出たことになります。
買いでエントリーして損失を出す
例えば、日本で暮らすAさんが、ドルの価格が100円/ドルの時に1万円で100ドル分買ったとします。1ヶ月後に90円/ドルに変化した場合、保有する100ドルは9,000円の価値となります。この時に、保有するすべてのドルを売った場合、Aさんは1,000円の損失が出たことになります。
売り(ショート)ポジション
買い(ロング)と真逆で高く売って、安く買い戻すことで収益を出す手法です。FXではこのポジションを持つことを「ショート」と言ったりします。その由来は買い(ロング)のところでも説明した内容と同様です。
何も持ってないのに、売りから入ることができるってどういうこと?と思われるかもしれません。私も初めて知った時には同様の疑問を持ちました。普段の生活の中でこういった概念によって、収益を出すケースはほとんどないため、ピンとこない方が多いかと思いますが、FXの取引ではこのように、売りからエントリーして利益を出すことが可能となっております。
なぜ可能かは、この章の後半で解説いたしますので、まずは買いと同様に売りで利益/損失を出すとは何かを、例とともに見ていきましょう。
売りでエントリーして利益を出す
例えば、日本で暮らすAさんが、ドルの価格が100円/ドルの時に1万円で100ドル分売ったとします。この時Aさんは100円/ドルで売る権利を持ったことになります。1ヶ月後に90円/ドルに変化した場合、100ドルは9,000円の価値となります。この時に、ドルを買い戻し、100円/ドルで売ることができれば、Aさんは1,000円の利益が出たことになります。
売りでエントリーして損失を出す
例えば、日本で暮らすAさんが、ドルの価格が100円/ドルの時に1万円で100ドル分売ったとします。この時Aさんは100円/ドルで売る権利を持ったことになります。1ヶ月後に110円/ドルに変化した場合、100ドルは1.1万円の価値となります。この時に、ドルを買い戻し、100円/ドルで売った場合、Aさんは1,000円の損失が出たことになります。
(補足)
「100円/ドルで売る権利を持つ」「買戻し後の100円/ドルで売る」行為は差金決済のため実際には発生しません。差金決済については後述内容を参照してください。
売りエントリーがなぜ可能なのか?
それはFXは原則差金決済となっているからです。差金決済を知るためには、その対称となる、現物決済を知る必要があります。
現物決済とは
売買する対象となる現物の受け渡しを行い、現物で決済する手法です。例えば、ドル/円の売買を行う場合で考えてみましょう。100円/ドルで取引されているドル通貨を1万円で売買する場合、買い手は1万円を支払い、売り手はドル通貨100ドルを渡すことで決済します。これが現物決済です。
差金決済とは
売買する対象となる現物の受け渡しを行わず、売買時の差額で決済する手法です。例えば、ドル/円の売買を行う場合で考えてみましょう。100円/ドルで取引されているドル通貨を1万円で買い、その後110円/ドルとなった時に100ドル分(1.1万円分)売る場合、売り手が差分の1,000円を渡すことで決済します。これが差金決済です。
つまり、FXは差金決済で、差金決済は買い手と売り手におけるトレード時の差分のみを渡せばOKだということから、現物がない状態の売りからエントリーすることが可能となっているのです。
スワップポイントとは
FX取引では2国間の通貨交換を行うと同時に金利の交換が行われます。各国で金利は異なるため、その差分を調整する必要があります。これがスワップポイント(金利差調整分)です。
高い金利の通貨を買い、低い金利の通貨を売ることで、スワップポイントを受け取る事ができます。一方で、低い金利の通貨を買い、高い金利の通貨を売る場合にはスワップポイントを支払う必要があります。
なお、スワップポイントは売買した時点ではなくポジションを保持している状態で日付を跨いだ時点で付与されるので、正確には"高い金利の通貨の買いポジションを保持する"、もしくは"低い金利の通貨の売りポジションを保持する"ことで得られることになります。
FXにおけるスワップポイントは、基本的にポジションを持っている間は毎日受け取ることができます。また、毎日変動します。
スワップポイントはFX業者によって、設定されているレートが異なるため、このスワップポイントでも利益を多く出したいという方は、取引対象の通貨ペアにおけるスワップポイントのレートが高い業者を選定する必要があります。
スワップポイントの利益を狙った通貨ペアごとのトレード例
USDJPYの通貨ペアでスワップポイントの利益を狙うケース
金利:米国>日本
FX業者のUSDJPYにおける一般的なスワップポイントの設定は「買い」のスワップポイントが大きくなるため、「買い」ポジションを中心としたトレードを行う。
EURUSDの通貨ペアでスワップポイントの利益を狙うケース
金利:欧州<米国
FX業者のEURUSDにおける一般的なスワップポイントの設定は「売り」のスワップポイントが大きくなるため、「売り」ポジションを中心としたトレードを行う。
お金を借りている額に対して支払う利息の割合のことです。ここで使われる金利は、各国の中央銀行が、一般の銀行(市中銀行)に融資する際の金利である、政策金利となります。スワップポイントと政策金利が必ずしも一致するわけではないのですが、政策金利をベースに調整されるのが一般的です。