FXと株式の違い
一言でいうと?
現金などの資産を元手に資産を増やすことができる手段であることにおいては、FXと株式に違いはありません。
では何が違うのでしょうか?一言で言うと「投資対象」が異なります。具体的には、FXが通貨(国)、株式が企業となります。投資対象が異なるということは、資産運用という中で投資家から見ると、自身の資産を増やしてくれる相手が異なるということです。さらにわかりやすく言うと、自身に変わってお金を稼いでくれる分身となる主体が異なるということです。
通貨(国)と企業とでは世の中に存在している数は異なり、一般的には通貨(国)の方が規模は大きく企業は小さい。親子関係でいえば、通貨(国)が親で企業は子となるわけです。
また、稼ぎ出す能力や稼ぎ出す方法も通貨(国)と企業とでは異なるわけです。したがって、そこに参加しているトレーダーの数や質も異なってくるのです。
このように投資対象が異なるということは、お金を稼ぎ出す分身となる主体が異なるだけでなく、それらを取り巻くトレード環境も異なります。トレード上でこれらの違いが様々なメリットやデメリットになったりするのです。
そろそろこの辺りで、「一体、私はFXと株のどちらを始めるべきか?」という疑問が出てくるか思います。こちらの問いに対しては、その人の資産運用の目的や経験、性格などによって大きく変わってくるため、今後改めて記事を提供予定です。
次の章では、FXと株式を取引する際に知っておくべき主要な違いを客観的にまとめております。そもそもFXってなんだっけ?という基本的な内容を改めておさらいしたい方は、下のリンクからご確認ください。
気になる具体的な違い
FXと株式では具体的に何が違うのか、主要な項目で比較してみましょう。
FX | 株式 | |
---|---|---|
投資対象 | 通貨 | 企業 |
対象数 | 約50ペア程度(国内) | 約4,000銘柄(国内) |
トレード時間 | 24時間 | 9:00〜12:00 12:30〜15:00 |
必要資金の目安 | 数千円から | 数十万円から |
レバレッジ | 最大25倍(国内) ※海外は業者による | 最大約3倍(国内) |
収益の種類 | 売買差益、スワップポイント(金利差) | 売買差益、配当、株主優待 |
税金 | 国内:申告分離課税(約20%) 海外:総合課税(累進課税) | 申告分離課税(約20%) |
株式とFXの違いはご理解いただけたと思いますが、次にFXのメリットやデメリットはどんなことが考えられるのか?という疑問が出てくるかと思います。次の章で解説します。
FXのメリット・デメリット
FXのメリット・デメリットはトレーダーの資産運用目的によって変わってくるため一概に定義するのは難しいですが、ここで記載している内容は主にこれからトレードを始めようとしている初心者が参考にするべき一般的な内容で整理しております。
メリット
- 少額でトレードが可能
- 売買差益だけでなくスワップポイント(金利差)で利益を得られる
- 時価評価金額が信託保全されている
- 24時間トレードが可能
- 信頼性が高く破綻リスクが少ない(取引量の多いメジャー通貨の場合)
- 流動性が高く売買がしやすい(取引量の多いメジャー通貨の場合)
デメリット(リスク)
- 各国の政治情勢、経済指標の発表や大統領、首相などの要人発言によって価格が大きく変動する可能性がある
- レバレッジにより大きな金額で取引ができる反面、強制ロスカットにより大きな損を抱えるリスクがある
- 24時間取引が行われているので、寝ている間に損失を出してしまう可能性がある
以上の通り、FXにはメリットの裏返しとしてデメリット(リスク)もありますが、リスクを回避するための各種規制によってトレーダーの取引は一定数担保されております。
国内におけるトレーダーを守るための取り組み
これから示す内容は主に国内におけるものです。国内においては、金融庁を主幹として各種法律や規制によって、FXの安全性が担保されております。
国内FX事業者は金融商品取引業の登録が必要
FX取引は、金融商品取引法上のデリバティブ取引に該当します。よって日本で勧誘行為を含めたFX事業を行うには、金融商品取引業の登録が必要です。2020年現在、国内における登録業者は約2,000社あります。
なお、海外FX事業者については、海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても国内FX事業者同様「勧誘」及び「勧誘に類する行為」は禁止されていますが、自発的に国内居住者から注文を受ける場合は、国内居住者との取引をすることができます。
登録を受けない外国証券業者であっても、その取引相手が証券会社やその他金融機関等の場合、もしくは証券業者が「勧誘」及び「勧誘に類する行為」をすることなく国内居住者から注文を受ける場合は、国内居住者との取引をすることができます。
金融庁HP「外国金融サービス業者が我が国市場に参入するにあたって適用される法規制」
以下に国内におけるトレーダーの安全性を担保する規制を取り上げますが、実際には日本に居住しているトレーダーが海外FX事業者も利用しているケースも多々あります。
日本国内におけるFXを取り巻く規制
証拠金の管理(信託保全)
法律で会社の財産と顧客から預かったお金を分離して管理しています(信託保全)。つまり、顧客から預かったお金は信託保全を請け負っている銀行から戻ってくるので安全です。
金融庁HP「投資者保護のための主なルール」
- 国内FX業者は、万が一潰れてしまった場合でも、トレーダーの証拠金が全額戻ってくるように守られています。
- 海外FX業者についても、信託保全を行っている事業者は存在します。
(KABUTO-ProjectのWebサイトで掲載する海外FX業者については、基本的には信託保全を行っています。詳細は別記事で紹介予定です。)
証拠金の基準規制
個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります(レバレッジに換算すると25倍以下となります。)。
金融庁HP「投資者保護のための主なルール」
法人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペア毎に、過去の相場をもとに算出される額以上の証拠金を差し入れる必要があります。
なお、取引所FX取引については、金融商品取引所が取引所規則に基づいて証拠金基準額を算出しています。
- トレーダーの取引の損失が大きくならないように、また安定した取引ができるように守られてます。
- 海外FX業者に関しても国内同様証拠金の基準が存在します。
ロスカット・ルール整備
金融商品取引業者は、FX取引を取り扱う際は、投資者の損失の拡大を防止するためのロスカットルールを定めます。
金融庁HP「投資者保護のための主なルール」
為替相場が投資者の想定と逆方向に変動して建玉に評価損が生じ、評価損の額があらかじめ業者と取り決めた水準に達した場合は、業者が投資者の建玉を強制的に決済して取引を終了させます。なお、相場が急激に変動したときは、ロスカットルールが適用されても、証拠金の額を上回る損失が生じることがあります。
- ロスカットはトレーダーの取引の損失が大きくならないよう守るための規制ですが、国内FX事業者はトレーダーの損失を補填してはいけないことが金融商品取引法で決められています。
- 海外FX事業者については、証拠金の額を上回る損失についてはFX事業者で補填され、追加証拠金が課されないこと(ゼロ・カットシステム)をメリットとしているケースがあります。
勧誘規制
FX取引では、次のような勧誘行為は禁止されています。
金融庁HP「投資者保護のための主なルール」
勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問又は電話をかけて店頭FX取引を勧誘すること
・取引所FX取引又は店頭FX取引を勧誘する前に、投資者に勧誘を受ける意思の有無を確認せずに勧誘すること
・取引所FX取引又は店頭FX取引の勧誘を受けた投資者が、契約しない旨の意思や・引き続き勧誘を受けることを希望しない旨の意思を示したにもかかわらず、勧誘を継続すること
- トレーダーが意思に反した契約をしてしまわないように守るための規制です。
- 海外FX事業者についても「勧誘」及び「勧誘に類する行為」 を禁止することで、意思に反した契約を防ぐための規制があります。
両建て取引の勧誘禁止
売建玉と買建玉を同時に保有する両建て取引は、取引コストを二重に負担することやスワップポイントが相殺されることなど、経済合理性を欠くおそれがあることから、金融商品取引業者が両建てを勧誘することは禁止されています。
金融庁HP「投資者保護のための主なルール」
- FX事業者が両建てを勧誘することで、トレーダーの資産を不用意に投資させないための規制です。
- 但し、両建てそのものが禁止されているわけではなく、FX事業者による「勧誘」を禁止するための規制となります。
今回は国内FX業者の規制について記載しましたが、多くの日本に居住しているトレーダーが海外FX事業者も利用しているケースがあります。
海外FXは高いレバレッジでトレードすることが可能で、少ない資金でも大きな利益を出すことが評価されているからです。こうした国による規制がなくても自主的に資金管理や情報収集を行いながら、リスク管理ができるトレーダーであれば、規制の有無に寄らず安全な取引が現実的には可能となっております。
国内FXと海外FXの違いは今後また別記事で紹介予定ですが、これからFXを始める方は自身に合った事業者を選択することも、FXで収益を増やす上では重要なポイントになります。
(参照)
社団法人金融先物取引業協会「FX取引の規制について」
https://www.ffaj.or.jp/regulation/
金融庁「外国為替証拠金取引について」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/iwagai/