本記事について

 現在様々なサイトでExpertAdvisor(以下EA)が提供されておりますが、その中でも満足度の高い結果を残しているEAはごく一部といわれています。

「結局のところ動かしてみなければわからない」のは間違いないのですが、星の数ほど出回るEAをすべて動かすには資金も時間も不足するため、稼働させるEAはなるべく絞り込みたいところです。

 そこで、本記事ではFXの自動売買ツールである「EAを絞り込むためのポイント」について解説していきます。

 EAを利用したことがない方はもちろん、すでに利用経験のある方にもEAを探す上での新たな発見があるような内容になっているかと思いますので、ご一読いただけばと思います。

優秀なEAとは?

 早速ですが、「優秀なEA」と聞いて、皆さんはどのようなEAを思い浮かべるでしょうか?

 利益の多いEA?
 勝率が高いEA?
 損切額が小さいEA?

 すでに感じている方もいらっしゃると思いますが、「優秀なEA」に定義はありません
 例えば、以下2つのEAの実績を見て、皆様はどちらのEAがより優秀と考えるでしょうか?

 A,Bともに、「現時点での収支がプラスである点」「勝ち負けを交互に繰り返している点」は共通していますが、Aと比較するとBは「高値を切り下げている期間がある」「最終的な損益は高い」という特徴があり、上記のようなグラフを見た時点でどちらのEAをより優れていると判断するかは利用者によって異なります。

 収支のプラスが見込まれるEAを選択することは大前提ですが、投資予算、期間、リスク管理の考え方など、ご自身のおかれている状況に応じて利用に適するEAは変わってくるため、本記事ではその選択のポイントとなる観点の解説を行っていきたいと思います。

※KABUTO-Project自身もEAの提供を行っておりますが、本記事はあくまで中立性を重視して記載するため、記事内では必要以上にKABUTO-ProjectのEAの言及は行いません。KABUTO-ProjectのEAについては、以下の記事でご紹介しています。本記事の内容を参考に、ご一読いただければ幸いです。

有料EAと無料EA

 現在流通しているEAには、有料のEAと無料配布されているEAが存在します。我々KABUTO-Projectでは無料でEAを提供しています。
 結論から申し上げますと、有料か無料かはEAの品質とあまり関連性はありません後述のテスト結果を確認できるEAであれば、その結果を重視して選ぶのがよいと思います。

 有料EAと無料EAの違いは、以下のような提供元のビジネスモデルの違いによるもので、優秀なEAを提供することが自身の利益にもつながるという点は共通しています。

  • 有料EA:EAの販売収益を目的としている
  • 無料EA:EAの稼働口座を紐づけることで、FX会社からアフィリエイト収入を得ることを目的としている
一部の高額EA販売業者について

 本文内で「有料か無料かはEAの品質とあまり関連性がない」旨を記載しましたが、一部の有料EA販売業者については数十万円という高額で誰でも作れるようなEAを販売し、販売後は一切連絡が取れなくなるケースも発生しております。有料EAの購入を検討する場合は、販売元がwebサイトや連絡先を公開して事業を実施しているか、他のユーザからの評価はどうかなど、販売元の信用面の事前確認を行うことをお勧めします。

バックテストとフォワードテスト

 EAの品質を確認する一般的な内容としてバックテスト、フォワードテストの結果を確認するということは非常に重要です。

 いずれもEAを評価するための重要な指標が含まれているため、この機にそれぞれの特徴、違いを抑えるとよいと思います。

※EAの仕様上、テスト結果が公表されていない(公表できない)EAも存在します。それらについては「テスト結果が公表されていないEAについて」で解説しています。

バックテストとは

 過去の相場の値動きデータを利用し、EAのシミュレーションを行うことです。

 バックテストはフォワードテストに比べて長期間を対象としたテストを実施可能な一方、利用する過去データの品質のリスク、カーブフィッティングのリスクをぬぐえません。
そのため、実際に稼働させた場合の成績についての信頼性はフォワードテストに劣ります

 なお、MT4/MT5ではバックテストを行う仕組みが標準提供されていますので、通常は以下のような形式でテスト結果の公開が可能です。

バックテスト結果の例(MT5のレポートから引用)
カーブフィッティングとは

 バックテストを行う期間でより多くの利益となるように、パラメータの値を必要以上に調整してしまうことを指します。
 パラメータの調整は一見適切な行為に見受けられますが、未来の相場は必ずしも過去の相場と同じ動きとなるとは限らない(そうならないことの方が多い)ため、過度な調整を行ってしまうと、実際のフォワードテスト結果が大きく下振れする結果となりかねません。

 カーブフィッティングはバックテスト結果のみでは判断が難しく、EA提供者自身も自覚なくパラメータ調整をしてしまうケースがあります。そのため、バックテスト期間で最適化されすぎていないかどうかはフォワードテスト結果と合わせて確認する必要があります

フォワードテストとは

 実際の相場の上でEAのシミュレーション(実際の取引)を行うことです。

 バックテストに対して各取引結果は信頼性が高いですが、リリース直後のEAなどはフォワードテスト期間が短いため、十分な試行回数を重ねられていない場合があります

 あまりに試行回数を重視しすぎると、リリースから時間が経過し相場状況が変化することもありますので、バックテスト、フォワードテストをバランスよくみることが重要です。

フォワードテスト結果の例(myfxbookから引用)
まとめ

 試行回数の観点でバックテスト、実際の値動きでの成績の観点でフォワードテストを重視することで、EAに対して初めてバランスの良い判断ができます。

 テスト結果の公開ができないEAを除き上記のテスト結果が公表されていない場合は、運営に情報提供の可否問い合わせることをお勧めいたします。その結果正当な理由なく断られるようであれば、そのEAを利用しても本当に大丈夫かは改めて検討してみてください。

 KABUTO-Projectでは、本サイトの以下ページにてバックテスト結果を公表しています。また、フォワードテスト結果については無料会員の方向けに、SNS上で週に一度、全EAの最新の結果を報告しています。

 これらのテスト結果に対して確認を行うべきポイントについて、次章でご紹介していきたいと思います。

テスト結果を評価するポイント

 本章ではバックテスト、フォワードテストそれぞれの結果に対し、重視すべきポイントをご紹介いたします。

取引期間、取引回数

 文字通り、テスト期間、およびテスト期間中の取引回数を指します。確認するポイントは以下です。

  • 直近の相場での結果が記載されているか
    相場状況はファンダメンタル観点でのイベント(要人発言、経済情勢、戦争など)により大きく変化します。その影響を受け、現在の相場に向いているEAも日々変化します。
     主にバックテスト結果についてとなりますが、直近のテスト結果が公表されていないEAはもちろん、10年などの長期間のテストを行っているEAについても、直近の結果が公表されているEAにくらべて現在の相場で同様の動きとなるかが不確定となります。
     可能な限り直近1~3年程度の相場におけるテスト結果が公表されているEAを選ぶことをお勧めします
  • テストとして信頼に値する試行回数をこなしているか
    ⇒バックテスト、フォワードテスト双方、可能であれば200回、最低でも100回は取引を実施していることが望ましいです。数十回程度の取引でのテスト結果は勝率が収束していない可能性があり、信頼性が高いとは言えません。

※200回の根拠:「確率分母の100倍の試行回数をこなせば、95%の確率で誤差±20%以内の確率になる」という統計学の指標から、勝率50%(1/2)を目安とした際の試行回数として200回と記載しています。

  • どのくらいの頻度で取引が発生しているか
    ⇒いくら他の数値が優秀なEAでも、年に2,3回しか取引を行わないようなEAは収益につながりにくいです。
プロフィットファクタ(PF)

 プロフィットファクタ(以下PF)とは、テスト期間中の利益の合計を損失の合計で除算(割り算)した値です。
 除算ではなく減算した値は損益となりますが、後述の通り損益は「金額」の表現となるため、ロット数で操作が可能です。PFであれば割合での表記となるため、EAの成績を正当に評価することができます。

 PFの値としては1.5-2.5程度が望ましいです。
 PFが3.0を超えるようなEAも存在します。それらについては当然収益性が高い可能性もありますが、「バックテストの期間が短い」「カーブフィッティングの可能性がある」などが考えられるため、取引回数など他の要素と合わせてご確認ください。

最大ドローダウン(最大DD)

 最大ドローダウン(以下最大DD)とは、テスト期間中の残高の最大下落率です。これは、初期投資額に対する下落率ではなく「最大残高」からの下落率のため注意が必要です。
 例えば、最大DDが50%のEAで、資金が増えていってから50%のDDが発生しているというテスト結果が出ているとします。このEAを運用した場合、運悪く稼働直後に同程度のドローダウンが発生すると、いきなりロスカットとなる危険性もあります。

 上記より、最大DDが50%を越えるようなEAは、他の要素が優れているとしても利用対象から除外してよいと考えます。

EAのテスト結果における損益について

 テスト結果に表示されている「損益」の金額はロット数に依存するため、損益のみを判断基準とすることはお勧めできません。あくまでも取引回数とPFの値と合わせて、ご自身の許容できるロット数でどのくらいの利益となるかを判断するのがよいでしょう。

テスト結果が公表されていないEAについて

ここまでの内容でテスト結果の重要性をお話してきましたが、「EAの成績がトレーダーのパラメータ設定に依存する」ような場合は、EA提供者によるテスト結果が公表されないことがあります

トレーダーがパラメーターを設定し、それにより取引の挙動が変動するようなEAの場合、ユーザの設定によって取引結果が大きく左右されるため、提供元として妥当な取引結果を公表できないケースが該当します。
例えば、ナンピン、トラリピ(ループイフダン)などのEAで、肝心なポジション幅、利確幅などは利用者がパラメータとして設定するような場合が該当し、KABUTO-ProjectのEAで言いますと、XXSS_EA(SSシリーズ)のEAが当てはまります。

 このようなEAを利用を検討する場合は、利用者側が確認するポイントとして以下が挙げられます。

  • EAの挙動(仕様)が明記されているか
    ⇒ナンピンなど一般的に知られている手法であっても、詳細な挙動がイメージと異なる場合があるため、仕様が記載されていないEAは利用を避けたほうが無難です。また、記載されている場合はご自身の望む挙動をするか、内容をよく読んで確認することをお勧めします。
  • EAにセーフティネットが設けられているか
    ⇒ユーザの自己責任でパラメータ設定を行うとはいえ、EAの自動売買に任せて放置する以上、ロスカットのリスクを下げる仕様を実装しているEAが望ましいです。
     例えば、KABUTO-ProjectのSSシリーズのうち「NPSS_EA」では、ナンピン時の「自動損切」機能を設けており、強制ロスカットに到達する前に任意のpips数で損切りを行う機能を搭載しています(パラメータでON/OFF可能)。

 また、ユーザのパラメータ設定に依存するEAを利用する際の前提として、利用者自身が該当EAにどのような挙動をさせたいか、はっきりとしたイメージを持っていることが重要です稼働後の損益がご自身の設定で大きく変化するため、どの程度のロット数で発注を行い、どこまで戻ったら利確するかなど、ご自身がEAに実現させたい動きのイメージを持っている必要があります。

EA提供業者の判断ポイント

 FXでの損失は自己責任の世界ではありますが、EAの提供元として利用者のリスクを最大限抑える努力は必要であり、以下のようにそれを怠るような業者のEAは利用するべきではありません。

EAのテスト結果を公表しているか否か

 ここまでの説明通り「提供元として妥当な取引結果を公表できないEA」は対象外となりますが、仕様に自信のあるEAであればテスト結果は必ず公開されています。テスト結果を提示せずに「月利○○%!」「満足度No1」などと謳っていたり、一部の取引履歴の画面キャプチャを貼り付けて、さも儲かるように見せている業者のEAを使用しても損失を招く結果となる可能性が高いため、検討対象から除外しましょう。

利用者の資産を守るという観点を持っているか否か

 ユーザの資産を守るという観点を持たない業者のEAはリスクが大きいです。以下のような仕様がEAに含まれてるかどうかで、そのEA提供業者の考えを見極めることができると考えています。

  • 資産に合わせたロットの調整機能(自動調整or手動でのパラメータ指定)
    ⇒ユーザの資金状況にかかわらず固定のロット数を発注するようなEAは、少額からスタートすると強制ロスカットとなる恐れがあります。
  • 強制ロスカットを避ける仕組み(自動損切など)
    ⇒主にナンピンEAが該当しますが、仕様の特性上強制ロスカットとなる可能性のある場合は、そうならないような回避策が検討されているかを確認しましょう。
利用中のユーザへのサポートがあるか否か

 EAを利用する際は、設定や仕様面で必ず疑問点が出てきます。それらの疑問を明確にしないまま(仕様を理解しないまま)稼働を続けると思わぬ損失につながる可能性があります。そうならないよう、問い合わせ先が明記されているかは必ず事前にご確認いただきたいです。 
 また、連絡先を公開していない業者は不都合が起きた際のクレームを受け付けないためにそうしている可能性が高く、このような業者のEAを利用すること自体お勧めできません。

継続的にアップデートをしているか否か

 相場は常に変動を続けているため、勝ち続けられるEAは相当稀です。そのため、相場の動きに合わせて継続的な改善が必要になると考えています。
また、バグの一切ないシステムというのも非常に珍しいものです。

 そのため、例外はあるかもしれませんが、リリースしたきり改善のないEA、バグがあっても修正の意識のないEAを展開しているような業者のEAを利用することはお勧めできません。事前にアップデートの有無などをご確認いただくことを推奨します。

 上記4点のいずれかに該当する業者の場合、EAの利用自体もリスクを孕みますが、それ以上にユーザ目線での配慮に欠けるため、ユーザに損失が起きた場合も結果論的に「相場状況から判断してユーザが自分で稼働を停止しておくべき」「ユーザに裁量取引の知識が足りていない」など、見当違いな発言で利用者側の能力を批判してくることが多く、とても嫌な思いをするケースがあります(実際に我々メンバーも初心者の頃はいくつかこのような業者の発言を見てきました・・・)。

 重ねて申し上げますがFXは自己責任が大前提です。業者からの損失の補填がないのは当然ですが、せっかくEAを利用するのであれば気持ちの良いやり取りができそうな提供元を選ぶことをお勧めします。

まとめ

  • 有料EA、無料EAは品質とは関係ないため、有料だから「優秀なEA」ということはありません
  • 「優秀なEA」に明確な定義はないため、ユーザ自身の状況に応じてEAを評価する必要があります
  • EAのテストには「バックテスト」「フォワードテスト」が存在し、EAを評価するためには双方を確認することが望ましいです
  • テスト結果の判断基準として「取引期間・取引回数」「PF」「最大DD」が挙げられます
  • テスト結果が公表されていないEAについてはEAの仕様にセーフティネットが設けられているかを重視しましょう
  • 利用するEAのみではなく、業者によるユーザサポートについても確認しておいた方がよいでしょう
  • トレーダーを重視しているかは継続的にアップデートがあるかを確認するとよいでしょう

本記事の内容が、少しでも皆様のEA選びの参考となれば幸いです。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事